続ドラぇもん第02話

第2話「因果応報」


中学生になったのぴ太は、3年ぶりに帰ってきたドラぇもんを無視し続けた。



「のぴ太くん、この3年間、どうしてたの?」

「のぴ太くん、学校は楽しいかい?」

「のぴ太くん・・・。」


何を聞かれても、どう話しかけられても無視し続けた。

ドラぇもんのストレスは日に日に増していった。



悩んだドラぇもんは、のぴ太の現在の生活について色々と調べた。

その結果、のぴ太は子供の頃に仲が良かった、シャイアン、ツネ男、しずがちゃんとは今は疎遠で、学校の同じクラスにも友達がいないということを、知ることになった。



「のぴ太くんが、しずがちゃんたちと、もう友達じゃないだなんて・・・」

「僕、一体、誰に相談したらいいんだろう?」



「・・・そうだ! 出来杉くんに相談してみよう。」





出来杉は現在、私立中学に通っていた。

のぴ太たちとは違う学校なので、普段は会うこともなかったが、彼は時々、のぴ太たちの事を思い出していた。



「昔は良かったな・・・。」

小学生の頃の彼は、まわりが勉強のできない連中だったため、常に優越感を感じていた。

そして、心の底では勉強のできないのぴ太たちをバカにしていた。


しかし、今はまわりがみんな勉強ができるため、学校では成績も悪く、他にとりえも趣味もなかった彼は、特に何をするでもなく、怠惰な生活を送っていた。


「しかし、俺もよくあんなバカな連中とつきあってたよな・・。」


彼は嫌なことがあるたびに、自分に言い聞かせた。

「どこまで行っても俺は、あいつらよりはマシだ。」


その日も出来杉は、なにをするでもなく、家に帰ってアニメのビデオをみていた。

「そういえば、あのしずがって女はどうしてるかな?」


「あいつ、俺に気があったんだよな・・・。」



そして、そこへドラぇもんが訪ねてきた。


最初、出来杉は何が何だかわからなかった。

しかし、だんだん、うっすらと思い出してきた・・・。


「ドラぇもんじゃないか!」

「うん、久しぶり、出来杉くん。」


まだ少し信じられなかったが、出来杉は「ドラぇもん」という存在の特異性について思い出した。

「でも、まさか君が実在したなんて・・・。」

「え?」


「いや、そりゃあ、うっすらとは覚えてたんだけど・・。何と言うか・・。」




うまく言葉には表せなかったが、出来杉は少しずつドラぇもんに関することを思い出していた。

そして、「ドラぇもんの道具」についても思い出した。


「ところで、ドラぇもん、何しに来たんだい?」

「・・・、実は出来杉くんに相談したいことがあって。」



ドラぇもんは悩みを打ち明け始めた。

しかし、出来杉にとってはドラぇもんがのぴ太に無視されていることなどどうでも良いことだった。

ただ、自分に訪れたチャンスに歓喜していた。



「話は良くわかったよ。全部、僕にまかせてよ。」

「本当に!?」


「うん、安心して。まずは今ののぴ太くんについて知りたいな。」

「僕にも良くわからなくて・・・。友達はいないみたいなんだけど。」


「そうか。じゃあ自分で調べるよ。でも僕も忙しいからなぁ。」

「頼むよ出来杉くん。」


「そうだ!スペアポケットを貸してよ。」

「え? どうして?」


「ドラぇもんの道具があれば、楽に調べられるからさ。とにかく僕も忙しいんでね。」

「うん、わかった。」



その日から出来杉は、ドラぇもんの道具を悪用し始めた。

ちょっとしたイタズラから始まり、凶悪な犯罪行為まで、誰に気付かれることもなく繰り返した。


特に出来杉のお気に入りは透明になる道具で、欲しい物は好き放題に何でも盗み、気に入らない奴は電車の駅のホームから突き落として殺し、気に入った女は一日中付け回して最後にはレイプしたりした。


肝心のドラぇもんがのぴ太のことで頭がいっぱいなので、出来杉を止める者はもはや誰もいない。


「俺は神だ!」

出来杉は本気でそう思い始めていた。


それから1ヶ月程して、出来杉はおもしろい道具を見つけた。


「全身性感帯薬」

そうラベルされた、妙な色をした薬だった。


冗談みたいなネーミングだが、効果はまさしく名前の通りで、これを飲まされた人間は全身が性感帯になり、少し触れられただけで敏感に感じてしまう。



これを見つけたとき、出来杉は特に気にも止めなかった。

しかし、学校の授業中に、ふと気付いた。

「この道具は今までとは違う。」



今まで出来杉が使った道具でも、レイプをするのは可能だったが、あくまでも犯人がバレないように行わなければならなかった。


しかし、この薬を使えば、お互い合意の上で(半ば強制的に)、することができる。

・・・出来杉は最初のターゲットをしずかに決めた。



その日、学校を早退した出来杉は、透明になる道具を使って透明になり、玄関からしずがの家に侵入した。

小学生の時に何度か来たことがあるので簡単だった。


しずがの部屋で透明のまま待っていると、しばらくして、しずがが帰宅して部屋に入ってきた。

当然、しずがは透明の出来杉に気付くこともなく、かばんを置いて着替え始めた。

それを冷静に観察した出来杉は、着替え終わって部屋を出たしずがの後ろにぴったりついて行った。


一階におりたしずがは冷蔵庫から炭酸飲料の入ったペットボトルを取り出し、コップに注いだ。


そして、しずががペットボトルを冷蔵庫にもどしに行っている間に、出来杉はそのコップに「全身性感帯薬」をたっぷり混ぜた。


しずがはそれを飲み干して、何事もなかったかのように2階の自分の部屋にもどった。

出来杉は、気持ちを落ち着けた。

「うまくいった。」



しずがは、無性に体がうずいた。

こんなに自分を抑えられなくなったのは初めてだった。

しばらく必死に耐えたが、耐えきれなくなって指を動かそうとしたその時、後ろに出来杉が立っていた。


「出来杉さん・・・?」

「やぁ、久しぶり。」


なぜこんなところに出来杉がいるのか、考えるような理性は残っていなかった。

覆い被さってきた出来杉を頭でははねのけようと思っても、体は抵抗することができなかった。

自分でも信じられないぐらい、感じていた。


出来杉はしずがの体をいやらしく撫でまわしながら聞いた。


「いいだろ? しずがちゃん・・・。」

「・・ダメ・・・おかあさんが・・・。」

「心配ないよ。」

事実、母親はすでに眠らせてあった。


「でも・・・。」

出来杉はもう何も言わずにしずがを犯し始めた。

すでに何回もレイプ行為を経験している出来杉にとって、今のしずがを感じさせることは容易かった。



次の日、学校を休んだしずがは、昨日のことを思い出していた。

何もせず、一日中、ぼーっと考え続けた。

現実だったのか、夢だったのか、それすらしずがには判然としなかった。

しかしふいに、出来杉の汗の臭いを思いだし、吐き気がした。


しずがはすぐにシャワーを浴び、念入りに体を洗った。

そして部屋にもどり、ろくに体も拭かずに服を着て、ベッドに突っ伏した。


ベッドは生々しい臭いを放っていた。


「あれは現実だったんだ・・・。」

そうつぶやいた瞬間、部屋の何もない空間から赤いドアが出現した。


「・・どこでもドア・・・?」

しずがはのぴ太の事を思い出したが、ドアの向うから出てきたのは出来杉だった。


「やぁ、今日も来てあげたよ。」

しずがは驚きと恐怖のあまり、しばらく声が出せなかった。


「しずがちゃん、この薬を飲んでごらん・・・。」

「・・・。」


「さぁ、早く。」

「・・イ、イヤ・・・。」


「いいから飲めよ。」


しずがは結局、抵抗できなかった。




次の日も、その次の日も、出来杉はやってきた。

毎日、夕方の6時頃に、しずがの部屋にどこでもドアで直接来た。


しずがは考える暇もなく、毎日、出来杉に犯され続けた。


6時頃に、家に帰らなければ良かったのかもしれないが、それはなにか逃げるような気がして悔しかったので、6時には必ず家にいた。


そして、しずがは出来杉が来るたび、必ず拒絶するのだが、最後には結局、薬を飲んでしまった。

出来杉は調子に乗り始め、だんだんと遠慮なく現れるようになっていった。


しずがは悩んだ。

しかし、自分一人で解決できる問題ではない。


相談できるのは一人だけしかいなかった。





しずがからの電話を切ったのぴ太は玄関から金属バットを持ち出し、部屋に戻った。

そして、部屋で漫画を読んでいたドラぇもんの頭に、思い切りそのバットを振り下ろした。

ドラぇもんは一瞬、何が起こったかわからず、「あぎゃっ」と変な悲鳴を上げた。

そんなドラぇもんに対し、のぴ太は容赦なくバットを振り下ろし続けた。


「のぴ太くん、やめてよ!」

「・・・どうしてこんなことするんだよ・・!?」

のぴ太は何を言われても無視し、バットを振り下ろし続けた。


ドラぇもんは泣き出し、髭の部品が折れた。

気の済むまでバットで殴った後、のぴ太は叫んだ。

「どうして出来杉なんかにスペアポケットを貸したんだ!!!!」



のぴ太は電話でしずがから相談された内容をドラぇもんに告げた。



ドラぇもんは信じられない様子で聞いていた。


「でも・・・、まさか、そんな・・・。」

「出来杉は毎日、どこでもドアで部屋に来るらしいぞ・・。」


「でも・・・、出来杉くんがそんなこと・・。」

「答えろ! なぜ、あんな奴にスペアポケットを貸した!?」


「だって・・・、だって・・・。」


ドラぇもんが泣きながら話した内容は、のぴ太に無視されていることをずっと悩んでいて、それを出来杉に相談しに行ったというもので、ドラぇもんはそれだけでなく今までどれだけつらい思いをしていたかということも語った。


しかし、のぴ太は何を聞いても無表情な顔をしていた。


そしてドラぇもんは涙を浮かべながら言った。

「でも、のぴ太くん・・、やっと口を聞いてくれたね。」


その言葉が再びのぴ太の怒りに火を付けた。

怒り狂ったのぴ太は、ドラぇもんの顔面をバットで何度も殴り、罵倒した。


結局、一時間近くドラぇもんをバットで殴った後、のぴ太は言った。

「俺は出来杉を許さない。必ず制裁を加える。」

・・・でも、どうやって?


ドラぇもんの道具を使うことにかけて、のぴ太の右に出るものはいない。

のぴ太はすぐに制裁の方法を思いついた。

「ドラぇもん、どこでもドアを出せ。」





次の日、出来杉は上機嫌で帰宅し、引き出しからスペアポケットを出した。

今、出来杉は人生で最大の喜びを感じていた。

「へへへ・・・、今日も感じさせてやるぜ。」


そして、いつも通り、スペアポケットからどこでもドアを取り出し、しずがの部屋を念じて開けた。


しかし、ドアの向こうは真っ暗な闇だった。

驚く暇もなく、出来杉は闇に吸い込まれ、そして、二度ともどって来なかった。






部屋で一人でニヤニヤしているのぴ太にドラぇもんは聞いた。

「どうしたんだい、のぴ太くん?」

「・・・今、しずがちゃんから電話があった。」


「今日は出来杉は来なかったそうだ。」



「・・・のぴ太くん、一体、何をしたんだい?」

「・・どこでもドアの行き先を宇宙空間に設定してロックしておいたんだ。」



「あいつは今頃、宇宙空間を漂っているはずだ。」

「なんてことを・・・。」


「俺が昔、おまえから教わったことだろ?」

「え?」


「道具を悪用したら最後は必ずヒドイ目にあうってことだよ・・・。」



「・・・変わったね、のぴ太くん・・・。」






――つづく――


  • 最終更新:2010-03-28 07:45:43

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