続ドラぇもん第03話

第3話「成長」



中学生になったのぴ太のもとに、ドラぇもんが三年ぶりに帰ってきた。

しかし、もうのぴ太はドラぇもんを必要としておらず、ドラぇもんは、悩んだ。

今となっては、のぴ太にとってドラぇもんはただうざったいだけの存在だったのだ。




そんなある日、のぴ太の家にいきなり剛田(シャイアン)としずががやってきた。

二人がのぴ太の家に来るのは、本当に久しぶりのことだった。


「・・・二人とも一体、何の用だよ?」

「いるんだろ? ドラぇもん・・・。」


二人が会いに来たのはのぴ太ではなくドラぇもんだった。


のぴ太には二人がドラぇもんに何を望んでいるのか、簡単に予想ができた。



剛田はツネ男を生き返らせること。

しずがは出来杉との忌まわしい出来事を消すこと。



「じゃあ、俺、ジュースか何か、買ってくるよ。」


のぴ太は二人をドラぇもんに会わせてから家を出た。

今はまだ、あまり二人とは顔を合わせたくない気分だった。


のぴ太は久しぶりに小学校の裏山まで行って、地面に寝転がった。

いい天気だった。









「シャイアン、しずがちゃん、元気にしてたかい!?」

「ドラちゃん、久しぶり・・。」

「・・・ドラぇもん、そんなことより、頼みたいことがあるんだ!」

剛田は真剣な顔で言った。










のぴ太は学校の裏山で、芝生に寝転がってしばらくウトウトしていた。

そして目を覚ますと、いつのまにか、後ろに見知らぬ少女が立っていた。



「こんにちは、のぴ太さん・・・。」

「・・・・君、誰だっけ?」

少女は微笑んだ。









「できないって、なんでだよ!? ドラぇもん!!」

「ドラちゃん、私も頼みたいことがあるの。あのね・・・。」

「ゴメン、できないんだよ・・・。シャイアン、しずがちゃん。」

ドラぇもんは悲しそうな顔で言った。








のぴ太はその少女に、どことなく違和感を感じていた。

とても懐かしい気がするのだが、なんというか、無機質な感じがして、存在感がない。

「今まで、おにぃちゃんと仲良くしてくれてありがとう。」

「おにぃちゃん・・・?」

友達の妹なのだろうか?










「そんな簡単に歴史は変えられないよ。」

「何言ってるんだよ!!タイムマシーンで・・・」

「タイムマシーンは君たちが考えている程、万能じゃないんだ・・・。」

ドラぇもんは苦渋に満ちた顔で言った。











少女はのぴ太のとなりに座った。


「とても感謝しているの。」

「おにぃちゃんも幸せだった思うわ・・。」


本当に誰なんだろう?











「じゃあツネ男は生き返れないっていうのか!?」

「・・・・・・。」

「何とか言えよ!!!」

ドラぇもんのストレスは限界に達していた。










少女は一方的に話し続けた。

「おにぃちゃんはいつものぴ太さんの役に立とうとしていたみたいだけど・・・」

「あんまり役に立ってなかったかもね。」

「ごめんなさいね、のぴ太さん・・。」










「ごめんよ、シャイアン。でも僕・・・」

「だまれよ!!」


「役立たず・・・・!」

ドラぇもんの中で何かが切れた。


突然暴れだしたドラぇもんはしずがの頭部に腕を振り下ろし一撃で粉砕した。

そして、次の一撃で、止めようとした剛田の腕をへし折り、ひるんだところに何度もパンチを繰り出して撲殺した。


暴走したドラぇもんは窓から外に飛び出し、民家を破壊し始めた。











「ゴメンネ、ほんとに。ダメな、おにぃちゃんで・・・。」

「・・・・・・。」


のぴ太は、ふと思い出した。


「ひょっとして、ドヲミちゃん!?」

「やっと、わかった・・?」

そう言ってドヲミはニコッと笑った。



「でも、その姿は・・。」

「私、ボディを人型に交換したの。」


「そんなことできるの?」

「簡単よ。ただプログラムを移しかえればいいだけ・・・。」


「本物の人間みたいでしょ?」


確かに姿は人間らしくなった。

「でもこれじゃ、ドラぇもんの方がよっぽど・・・。」

のぴ太はそう言いかけてやめた。






その時、突然、街の方で爆発があった。


「何だ!?」

「・・・ついに来たのね。」


「どういうこと? ドヲミちゃん・・・?」

「おにぃちゃんの神経回路が限界に達したの。」


「え・・?」

「おにぃちゃんの神経回路には一部、バイオチップが使われていて・・・」


「つまり、生きているの。」


「!!」


「だから寿命があって、ストレスに耐えきれなくなったら誤作動してしまうの。」

「そんな・・・。」



ドラぇもんは生きていた!?



「俺はなんてことを・・・」

のぴ太はドラぇもんを金属バットで殴ったことを思いだし、胸を痛めた。



「のぴ太さんは何も悪くないわ。」

「むしろあんな兄に今まで良くしてくれて、感謝しているくらいよ。」



「・・・・・。」






ドラぇもんは見境なく暴れ続けた。

今のドラぇもんは、もはやただの殺人機械も同然だった。





「わかっていたことよ。」

「バイオチップは原理的にどうしても寿命があるの。」

「だから、最近はもう使われなくなってきたわ。」

「おにぃちゃんは旧型で、言ってみれば不良品ね。」




「・・・そうだったのか。」


のぴ太は昔のことを思い出した。

一度、ドラぇもんとドヲミが交代するという話が出たことがある。


あの時は泣いた。

ドラぇもんと別れるのがつらかったのもあるが、どこか非人間的なドヲミに対する恐怖もあった。




ドヲミちゃんはただの機械。

でも・・・・。

「ドラぇもんは生きていたのか・・・!」


「まぁ、そういうことね。」

そう言うとドヲミは、なにか見覚えのある道具を取り出した。



「それは?」

「空気銃よ。・・・リミッターは外してあるけど。」



「これで、おにぃちゃんを破壊するの。」

のぴ太は絶句した。



「とても悲しいけれど、もう修理できないから仕方ないわ。」

「・・・・・。」

それだけ言うとドヲミは、無表情な顔で空気銃を指にはめこんだ。



「じゃあ、行ってくる。危険だからのぴ太さんはここにいてね。」



「ちょっと、待って!!」


「何?」



「ドラぇもんとドヲミちゃんは兄妹だろ?」

「そうよ。」


「だったら、軽々しく殺すなんてできないはずだ。」

「・・・・。」


「・・・少なくとも、そうプログラムされてるはずだ!」

「そんなこと言ったって、誰かが何とかしないとないと、このままじゃ・・。」



「俺がやるよ。」



「え?」

「俺がドラぇもんを壊す。」



「でも、正確に頭部を狙わないといけないから・・・。」


「大丈夫。射撃は得意だよ。」





ドヲミから空気銃を受け取ったのぴ太は街に向かった。



街は破壊し尽くされ、ところどころに無惨な死体が転がっていた。


もう街には誰もいなかった。

住民は避難し、警官隊も全滅し、残っているのはのぴ太とドラぇもんだけだった。



ドラぇもんはのぴ太の家の付近で暴れまわっていた。


「・・ギ、ギ・・・・・。」

「ドラぇもん・・・!」


のぴ太とドラぇもんは向かい合った。


正気を失ったドラぇもんは相手がのぴ太だと気付くこともなく、鬼のような形相で襲いかかってきた。



「ドラぇもん、今まで、本当にありがとう。」


「いつも自分のことはそっちのけで俺を助けてくれたね。」


「でも、もう大丈夫。」


「あとは一人で何とかやっていくから安心してよ・・。」




「さようなら」


のぴ太は空気銃の引き金を引いた。















「じゃあ、もう会うこともないと思うけど・・。」

「ドラぇもん」の機体を回収したドヲミはのぴ太に別れを告げ、タイムマシーンに乗り込んだ。


ドラぇもんはあれだけ暴れまわったのが嘘のように、いつもと変らない安らかな顔をしていた。

違うところと言えば、額に小さな穴が開いていることぐらいだった。


「おにぃちゃんの機体は未来に持ち帰って廃棄しておくわ。」

「・・・・。」


「本当にお別れね、のぴ太さん。」

「うん。」



「じゃあね。」


「待って、ドヲミちゃん。」

「何?」


「一つだけお願いが・・・。」



のぴ太の人生は再び、平凡で退屈なものになった。

ドラぇもんがいた頃のことが嘘のように、平凡で退屈な・・・。


きっとのぴ太は少しずつ、ドラぇもんのことを忘れていくのだろう。


しかし、今でものぴ太の部屋の押し入れには、もう動かなくなってしまった「ドラぇもん」がひっそりと眠っている。








――完――


  • 最終更新:2010-03-28 07:46:11

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